次世代2.5Dおよび3D半導体パッケージング:誘電材料のトレンド

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チップ性能と効率向上を求める声に応えるべく、半導体業界はパッケージング技術の限界を絶えず押し広げています。帯域幅はパッケージ上のダイ間で伝送されるデータ量を決定づける重要要素の1つです。通信速度と効率を大きく左右する帯域幅は、IO/mmやデータレート/IOなどの要素の影響を受けます。そしてそれらの要素は、2.5Dおよび3Dパッケージング用に選定された誘電材料の影響を受けるのです。
本記事では、2.5Dおよび3Dパッケージングの両方における誘電体材料の技術動向について、IDTechExの調査レポート『先端半導体パッケージングの材料とプロセス 2024-2034年』からの考察を交えて紹介します。
 
Scope of "Materials and Processing for Advanced Semiconductor Packaging 2024-2034". Source: IDTechEx
 
2.5Dパッケージング:
 
2.5Dパッケージングの場合、高帯域幅を実現できるかはパッケージ内の再配線層(RDL)に左右され、ラインアンドスペース(L/S)、ビア、パッドの寸法といった特徴が重要です。しかし、SiO2のような従来の無機誘電材料を使用することでL/Sの微細化が可能ではあるものの、誘電率が比較的高い(Dk=3.9)ため、シリコン製造分野での利用に限られてしまいます。このことから、高速通信には適さず、高価になるという課題も生じます。そのため研究者たちは、性能向上と低廉化に向け、代替品として低誘電率の有機材料を模索しています。
 
有機誘電材料は低誘電率と価格競争力を兼ね備え、先端半導体パッケージング用材料の有望選択肢として浮上しています。ただし、適切な有機誘電材料選定には、重要パラメータを慎重に考慮する必要があります。IDTechExの調査レポート『先端半導体パッケージングの材料とプロセス 2024-2034年』では、Dk(誘電率)とDf(誘電正接)、CTE(熱膨張係数)、伸び率、ヤング率、吸湿性という有機誘電材料に不可欠な5つのパラメータを取り上げています。理論上、パッケージングに安定性をもたらす材料には、DkとDfが低く、CTEがシリコンや銅に適しており、伸び率が高く、適度なヤング率を特長とするものが期待されるでしょう。ところが、材料選定にはトレードオフが伴います。例えば、低誘電ポリマーは熱膨張係数(CTE)が高く、機器の信頼性やパッケージングアーキテクチャに影響を及ぼす可能性があります。そのため、半導体パッケージングの材料選定を成功させるには、これらパラメータ間のバランスを取ることが不可欠です。
 
3Dパッケージング:
 
3Dパッケージング進化の中でも絶えず進歩してきた1つに、はんだバンプの狭ピッチ化が挙げられます。ただし、こういったアプローチではバンプの高さと接合面積が削減され、信頼性の高い電気的接続を確立する際に課題が生じ、精度の高い製造プロセスが必要となります。これに対処できるのが10μmほどのファインピッチボンディングを可能にする熱圧着(TCB)ですが、金属間化合物(IMC)が形成されたり、はんだボールのブリッジが発生するなど、問題が残ります。これら克服するため、Cu-Cuハイブリッドボンディング技術を利用し、誘電材料間に金属端子を埋め込み、熱処理により銅原子を拡散させることで、はんだ付けに伴うブリッジ問題を解消し、高性能部品パッケージングの信頼性を高めています。この技術は半導体業界にとって、電子機器の小型化と性能限界を押し広げる有望なソリューションと考えられています。
 
現在のハイブリッドボンディング技術では、絶縁のためにSiO2やSiCNのような無機誘電材料を使用していますが、微細表面形状パターンを実現しにくく、前処理工程が必要となります。一方、有機誘電材料には、2.5Dパッケージングに対する利点と同様に、低誘電率(low-k)特性、RC遅延と挿入損失の低減、銅マイグレーションへの耐性、不良や反りに対する耐性の向上などの利点があります。しかし、接合温度上昇への対応という課題が残ります。例えば、メモリ用途の接合温度要件は250°C未満、熱の影響を受けやすい非耐熱材料がデッキに埋め込まれているディスプレイなどの場合は150°C未満となっています。そのため、3Dハイブリッドボンディングでの有機誘電材料の利用は未だ研究開発の段階にあります。また、使用するポリマーによってCMP加工が適用できるかは大きな課題です。CMP加工時には、低モジュラス、粘弾性挙動、粘着性といった半硬化状態のポリマー特性が銅表面の信頼性を確保するうえで非常に重要です。銅とポリマーではモジュラスが異なるため、銅バンプ形成という点でさらに複雑さを増すでしょう。
 
IDTechExの調査レポート『先端半導体パッケージングの材料とプロセス 2024-2034年』では、有機誘電材料は、その特性が強化されれば、ハイブリッドボンディングで実用可能になるであろうと示しています。成功すれば、有機材料を量産工程に組み込むことで、OSAT企業間でハイブリッドボンディングの導入拡大が進む可能性があります。この転換により、一部のファウンドリ以外でもこの技術導入が可能となるかもしれません。というのも、無機材料に対して設定されている厳しい製造基準やクリーンルーム基準が、有機誘電材料に対しては緩和される可能性があるからです。
 
IDTechExの調査レポートでは、先端半導体パッケージングの概要を4つの主要部分に分けて体系的に説明しています。第1部では技術、トレンド、用途、エコシステムを取り上げており、第2部では2.5Dパッケージングプロセスについて掘り下げ、誘電材料、RDLの製造、材料の選定について考察しています。詳細分析やプレーヤー評価、今後の動向を掲載しています。第3部では2.5Dよりも先に目を向け、3Dダイスタッキング用Cu-Cuハイブリッドボンディングに焦点を当てながら、製造プロセス、材料選定、ケーススタディについての洞察を提供しています。また、有機誘電体アドバンスト半導体パッケージングの10年間市場予測を掲載し、市場成長と動向に関する業界展望を提供しています。
 
2.5Dおよび3Dパッケージングの両方における誘電体材料の技術動向をより深く理解するために、IDTechEx調査レポート『先端半導体パッケージングの材料とプロセス 2024-2034年』を、ご活用ください。
 
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